愛すべき「ろくでなし」と出会って10年。小山力也が語る、毛利小五郎という男
ビシッとした黒のスーツに、赤の差し色がダンディな衣装。「よろしくお願いします」というひと声は、女性だけでなく男性もくらりと来てしまうほどセクシーだ。
かと思えば、カメラを向けるとパッとおどけた表情を見せてくれる。
小山力也のつかみどころのないキャラクターは、その演技からも感じられる。ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーをはじめとする洋画の吹き替えや、『血界戦線』のクラウス・V・ラインヘルツなど、アニメ作品でも渋い役どころを演じる半面、女好きでひょうきんな役もこなす。
彼が『名探偵コナン』で演じている毛利小五郎は、普段はどうしようもない「ろくでなし」だが、ここぞというときはキメてくれる。
小山が小五郎を演じ始めてから10年。憎みきれない人間味あふれる彼を演じるうえで、“キモ”にしている部分はどこなのだろうか?
普段は適当でも、芯の部分では他人の幸せを思っている
- 公開中の劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』の収録はいかがでしたか?
- 今回は、ゲストキャラクターのレオン・ロー(声/山崎育三郎)に「オーラがない」って言われていましたね! ほかにも「この男だけはわからない」と言われていましたけど、とにかくヘロヘロに酔っぱらっていたりと、なかなか真面目なシーンがありませんでしたね。
- 劇場版とアニメ、演じるうえで違いを感じることはありますか?
- 劇場版での小五郎は、難しいことは何も知らなくていい役なんですよね。そういう意味ではとても気軽に演じました。
- テレビシリーズでは推理をするシーンがあるので、そこは「しっかり」と演じていますが、劇場版では難しいことは考えず、流れに身を任せるようなかたちでやっています。
- そういう意味ではとても自然体というか、演じていて楽しいキャラクターですね。
- どちらかというと巻き込まれる役回りですよね。
- だいたいそれで大変な目にあっています。去年の劇場版(『ゼロの執行人』)では容疑者にされてしまいました(笑)。
- それでも一向に懲りない、めげない、折れない、負けない。そういう部分は世界で一番だと思っています。
- 最近は「探偵」よりも、「父親」としての顔がクローズアップされている印象があります。
- 娘の(毛利)蘭(声/山崎和佳奈)が危ない目にあったり、蘭の心が揺れる部分が描かれると、どうしてもそういう面が出てきますよね。とはいえ本人もまだまだ若いので、探偵や父親ではなくひとりの男としての小五郎にも、“トキメキ”という意味では頑張ってもらいたいところですが(笑)。
- 昨年の劇場版での妃 英理(声/高島雅羅)との夫婦愛は素敵でした。今回は蘭と(工藤)新一(声/山口勝平)が付き合って初めての劇場版でしたね。
- そうなんですよ! あんな裸みたいな格好でプールに入って! まだ高校生なのにあれはいけませんよ。個人的にはもう少し節度を持っていただきたいです!
- 小五郎は、全然知らん顔してお酒を飲んでいましたけど、もう少し心配したほうがいいと思いました(笑)。
- いざというときは頼りになる、芯がしっかりしているところも魅力的です。
- 普段は本当に利己主義の塊で、自分のペースを第一に、コナンくんをいつも邪魔者扱いしている。けれど、そんな雑な扱いをしていても「人の命」に関わることは大事にしている。
- そういう一番大事なところが「ちゃんとしている」のがいいですよね。その信頼があるからこそ、普段の適当な行動も許せてしまえるところがあります。憎み切れないろくでなしの代表みたいな男です(笑)。
- 芯の部分で他人の幸せを考えている。そこだけは演じる際も絶対に踏み外さないようにしています。というか、そういう思いを持たないといけないと感じています。そうでないとただのアホですからね……。
- ファンブックなどのインタビューで、小五郎を演じる際に「懐の深さ」を大事にされているとおっしゃっていました。
- そのとおりです! いつも心がけて演じています。
- 小五郎って本当はとても強い人間なんですけれど、あまりにも気を使わないがゆえに、いろいろボロが出てしまったり、損な目や危ない目にあったりするんですよね。それでもめげないところが、高尚に言えば懐が深いという彼の特徴なのかなと思います。
劇場版は、毎年「出番がなくなるんじゃないか」とヒヤヒヤ
- 今年の劇場版では京極 真(声/檜山修之)が初出演しました。
- (冗談っぽい口調で)迷惑なんですよね!!(笑)若いキャラクターばっかり目立って! 今年なんて小五郎がポスターにいないんですよ!
- あっ、本当ですね!?
- わたくし、今年の劇場版が記念すべき10作目なんです。なのにポスターにいないという……。
- 少年探偵団がいるのになぜ小五郎はいないのか…。
- 小山さんが毛利小五郎を演じられて10周年になりますが、これまでで印象に残っている事件や犯人を教えてください。
- 最初に演じたテレビアニメ第553話の『ザ・取調室』(2009年)ですね。最初っからいきなりの出ずっぱりでしゃべりっぱなしだったので、とてもよく覚えています。
- 劇場版は……そうですね、いろんな思い出があります。『絶海の探偵(プライベート・アイ)』(2013年)は、自衛隊の話だったので専門用語が飛び交い大変だった思い出が。
- とはいえ、やはり娘がピンチになる話は全体的によく覚えています。誘拐されたり、襲われたり……そういうときは、ここぞとばかりに真面目な小五郎を演じますからね。
- 小五郎のカッコいいシーン、ということですね。
- 蘭や英理が窮地に陥るときでないと、なかなか本気を出さないので……。去年の劇場版では少し推理をするシーンがあったので、今後またそういうシーンがあるとうれしいです。今年もラストにはちょっとだけカッコいいシーンがありますよ!
- とはいえ、劇場版は出られるだけでもありがたいです。毎年、今度こそ探偵事務所でお留守番をさせられるんじゃないかという恐怖があります(笑)。
- 少年探偵団はどこかで必ず登場しますし、阿笠博士(声/緒方賢一)のダジャレクイズも恒例ですが、小五郎はいつか本当に出番がなくなるんじゃないかとヒヤヒヤしています。
- (笑)。年々、劇場版『名探偵コナン』に対するファンのボルテージが上がっている印象がありますが、どのように感じられていますか?
- スゴいですよね! 毎年過熱しているのは僕もすごく感じます。
- しかしうまく作っているなぁと思います。1回見ただけでは細かいところまで把握できないようになっているんですよ。2回、3回と繰り返して見ることで「ああ、ここはこうなっていたんだ!」という発見があるでしょう。
- 何回も足を運んでいただけるのは本当にありがたいことなんですが、5回以上見たという声を聞くとなんだか申し訳なくなっちゃいますよね(笑)。リピーター割引とかあればいいのに……とか思っちゃいます。
- 毎年の人気ぶりに、プレッシャーなどは感じますか?
- 僕はとくにないですね! ポスターにいないくらいですから(笑)。
- プレッシャーは感じるだけ損ですし、まるでそういうものは感じていません。そのまんま、与えられた役の務めを果たしています。
若手の成長に、「僕の場所もあけておいてくれ」と思う
- 小山さんが仕事をするうえで、大事にしていることは何ですか?
- 一番大事なのは、やはり「お客さん」ですよね。この作品に関わる自分はどうすればいいのか、与えられた役をどうお客さんに伝えようか。「自分のために演じているわけではない」というのは、一番に考えています。
- (江戸川コナン役の高山)みなみさんたちもそうだと思いますよ。『コナン』の現場だととくに、みなみ隊長にひっぱってもらいながら、みんなでいいものを作るために演じている雰囲気があります。
- 『名探偵コナン』の現場でももちろんですが、どんどん新しい声優が出てくる中で、後輩に対する思いはありますか?
- もう新しい子が来るたび、全部つぶしちゃおうって思うんですけどね(笑)。
- ……そうもいかないので、表面上は「頑張れよ」と言いつつ、「僕の場所もあけておいてくれよ」とも思っています(笑)。
- そこは「奪いに行く」ではないんですね?(笑)
- 取りようがないですからね! 僕は、与えられた役を演じるだけです。小五郎もね、今は出られればいいやって気分でやっています(笑)。
- やっぱり最近は、組織との戦いや新一と蘭の恋物語がメインになってきているので、なかなか小五郎にフォーカスが当たることがないんですよ。さみしいといえばさみしいんですが、おじさんにばかりフォーカスが当たるのも何なので、それはそれでいいのかなと思っていますが。
- キャリアを重ねていくと「主人公」より、小五郎のようなサポートキャラクターが増えてくるかと思います。アフレコの現場でも、そういった役回りを意識されるのでしょうか?
- 僕は鈍感なので、そういったことはあまりしないですね。いつも思うんですけれど、「正義の味方」がどうして「正義の味方」なのかと考えると、彼らはきちんと人に気を使って考えて行動しているんですよ。
- 『コナン』の現場ではみなみさんがまさしくそうですけれど、他人のつらいことや苦しいことも、まるで自分のことのように受け止めて動かれているし、他人の喜びを自分のこと以上に喜べる。それが「コナン」であり「ヒーロー」なんですよね。
- そういう気持ちを持っていらっしゃる人が「主人公」なのだなと感じています。そんな姿を見ていて、自分も「そうありたいな」とは思うんですが……なかなか難しいですね。
- 小山力也(こやま・りきや)
- 12月18日生まれ。京都府出身。O型。俳優としてデビューした後、声優の活動も始め、多くの吹き替え作品に出演。2011年には、第5回声優アワードにて富山敬賞を受賞した。洋画吹替ではキーファー・サザーランド(ジャック・バウアー役/『24 -TWENTY FOUR-』シリーズ)や、ジョージ・クルーニーなどの専属声優として活躍。アニメでの主な出演作は、『Fate/stay night』シリーズ(衛宮切嗣)、『血界戦線』(クラウス・V・ラインヘルツ)、『文豪ストレイドッグス』シリーズ(福沢諭吉)など。
サイン入りポスタープレゼント
今回インタビューをさせていただいた、小山力也さんのサイン入りポスターを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年4月21日
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応募〆切は4/27(土)18:00
インタビューはこちら▼https://t.co/GZP6JAC7kQ pic.twitter.com/06Frg4c1FN- 受付期間
- 2019年4月21日(日)18:00〜4月27日(土)18:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/4月29日(月・祝)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月29日(月・祝)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月2日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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